3. 上級者 スベテを知った・・・次は何だ!? ----------------------------------------------------------------------------- この段階で学ばなければならないことは、サンプリング、トラッキング、エフェクト の使い方など、すべてのことがプロフェッショナルに成されていなければならないとい うことです。すべてのものがこれ以上ない完成度で組み合わされていなければなりませ ん。ゆっくりと時間をかけて、自分の曲ができる限り完璧に近いことを確認しましょう 。 ボーカル ~~~~~~~~~~ 曲を作っていくといつかはボーカルを曲に入れたくなる日が来ます。ボーカルを入れ るのは難儀で、ふたつの重要なものをしっかり考えておかないといけません・・・歌手 と歌詞です。どちらがより重要ということはなく、同程度に大切であることを覚えてお きましょう。いい歌手が下手な歌詞を歌っていたり、いい歌詞を下手な歌手が歌ってい たりするのは、どちらもかっこ悪いものです。ほんの一握りの人々がうまく歌を歌えま すが、それよりも少数の人々がいい歌詞を書くことができるのです。 いいボーカルを録音する近道は、まず誰かいい歌詞を書いてくれる人を見つけ、その のちにスタジオを数時間借りてボーカリストを雇うことです。スタジオを使う主な理由 は、スタジオには普通、とても高い機材ととても良いマイクが置いてあるからです。ス タジオの人々はそれらの機材の使い方をマスターしていますし、いい録音方法も知って いるはずです。自分の作った曲を録音したものを持っていくと、ボーカリストがそれを 聞きながら歌えるので、良いでしょう。もちろん、スタジオを借りる前には、スタジオ にあなたが使っても良いサンプラーがあることを確認しておきます。どうせ様々なコン バータがありますから、ディスクへの保存方式はそれほど重要ではありません。 サンプラーがなくても、スタジオにCDレコーダーがあれば事足ります。CDレコーダー で作成したCDを、暇なときに自宅でリッピングするかサンプリングするかすればいいの です。もしDATレコーダーであったとしても同じです。スタジオでDATテープに録音して おいて、あとで好きなときにサンプリングをするのです。 ボーカルのサンプルを使うことによっていくつかの弱点が出てきます。ひとつはファ イルのサイズが瞬く間に大きくなってしまうことです。使うサンプルの量によりますが 、ふつうは数百キロバイトどころではなく、数メガバイトの単位で大きくなってしまい ます。 あなたは気にしないかもしれませんが、ふたつめの問題はライブです。ライブで、歌 っている人がいないのに声だけ聞こえてくるのは何とも奇妙な光景です。 エフェクト ~~~~~~~~~~~~ イコライザ ~~~~~~~~~~~~ 周波数ヲ整理セヨ(by XRQ) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 次のことを想像してみてください。あなたは、全周波数領域(50Hzから20kHzまで)に わたってすべての楽器の音量が等しい、という曲を聞いています。この曲は「音楽」な どと呼べるしろものではなく、ただの雑音です。また、楽器どうしを聞き分けることも できず、すべての楽器のメロディは「鳴き声、叫び、唸る、群れ」となって融合してし まいます。ですから、楽器は周波数帯によって別々にしておいたほうがいいのです。例 を挙げましょう。 8kHzを少しあげて、そのほかの周波数を少しずつ下げた状態で最高に良く聞こえるボ ーカルのサンプルがあるとしましょう。そのように調整をすると、ボーカルの中心は8kH zとなります。ボーカルのとなりにギターを置きたいのであれば、ギターには違った周波 数帯(たとえば6kHz)を割り当てるべきです。他の楽器も同様にします。 すべての楽器に「主となる音域」があり、楽器どうしは周波数について近所どうしに なります。ふたつの楽器が同じ周波数帯を占拠しないようにしましょう。 たとえふたつの楽器をどうしても一つの周波数帯に入れたくても、次の方法で妥協し てみてください。どちらかの音をもう一方よりもやや高い周波数帯に入れ、パンを右と 左に広げてやります。もしくは、片方をそのままにしておいて、もう片方を正気でない ような音域(極端に高かったり低かったりする音域はふつう空いています)に追いやっ てしまうのも手です。これらの方法によって妥協することはとても重要です。とても信 じられないような変化が起こり、音が格段に良くなりますから、試してみてください。 各楽器の周波数をいじるのは、サンプル・エディタでイコライズ設定やパラメトリッ ク・イコライザやらを使い・・・ もう分かってるでしょ? やらなきゃいけないことは書きましたから、好きなソフト を使いましょう。 イコライザの理論と実践(by DNATrance) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ イコライザはひとつひとつの音に居場所や役割を見つけてやり、曲を幸せな大家族の ように仕上げるために重要な役割を果たします。通常、プロ用のミキサーには各チャン ネルごとにイコライザが付いていますし、お気に入りのサンプル編集ソフトやトラッカ ーに付いているイコライザを使ってもいいでしょう。 基本的にイコライザは以下の特性をもつフィルタです。 周波数 : 低周波数はバス(低音)、高周波数はトレブル(高音)です。 ゲイン : 周波数を増幅・減衰させる量 Q(レゾナンス) : 帯域(フィルタが特定の周波数を中心にして、どれだけ上下に 広がっているか) ローパス・フィルタおよびハイパス・フィルタは、カットオフ周波数の上を切るか下を 切るかが違うのみで、他は同じです。 イコライザの機能は以下の通りです。 ロー・カットオフ : 出力される音のうち、もっとも低い周波数 ロー・ゲイン : 低音域の音をどれだけ増幅・減衰させるか ロー・周波数 : 増幅・減衰させる周波数 ミッド・ゲイン : 中音域の音をどれだけ増幅・減衰させるか ミッド・Q : 変化させたい周波数帯の広さ(レゾナンスと呼ばれることも あります) ミッド・周波数 : 増幅・減衰させる周波数 ハイ・ゲイン : 高音域の音をどれだけ増幅・減衰させるか ハイ・周波数 : 増幅・減衰させる周波数 ハイ・カットオフ : 出力される音のうち、もっとも高い周波数 イコライザによってはこれらすべての機能はないかもしれません。例えば、ロー・周 波数が固定されていたり、ミッドのコントロール群がないかもしれませんし、簡単なオ ーディオ・コンポのようにバスとトレブルのゲインしかない場合もあります。 最高のパターンは、音の質感をあやつるためのフィルタがたくさん付いている、パラ メトリック・イコライザでしょう。 さて、プロっぽい音づくりをするのに必要なのは、イコライザを曲全体のことを考え てかけるということです。もしベースとバスドラムの両方があるのであれば、ふたつを 異なる周波数帯に入れて、同時に発音したときに違和感がないようにしましょう。イコ ライザで増幅する前に、各サンプルのボリュームを下げておくといいかもしれません。 トラッカーの悪い癖というのは、バスドラムを強く鳴らしすぎることです。これはお そらく、曲の中で使っているほかのサンプルの低音が大きすぎて、バスドラムを強くし ないと、他のサンプル達に消されてしまうからでしょう。ベースとバスドラム以外の音 は実際にはそれほど低音が入っていないほうがいいのです。単音で聞いたときには低音 は気にならないかもしれませんが、それらを組み合わせてミックスしたとき、低音がぼ やけた感じになってしまいます。 巨大なレコーディング・ミキサーがなくても大丈夫。ハードディスク・レコーディン グをしているのであれば、その利点を生かしましょう。画面上で、曲のどの部分にイコ ライザをかけているのかを見ることができますので、これはとても便利です。さて、も っとも重要なヒントです・・・最終的には自分自身の耳が判断基準となることを忘れず に! ゲインを最大まであげたまま周波数をいじると、どこに音のピークがあるかを探すの が簡単になります。周波数を決めたのちに、ゲインを元の値に戻します。ゲインは対数 スケールを使用しているので、3dB(デシベル)でゲインは二倍になり、6dBでははるか にうるさくなります。スケールが線形になっているイコライザも存在し、その場合はカ ーブがもっとゆるやかです。 ハイハットのイコライジングにおいては高音を強調するのがいいように思いがちです が、少し強調する周波数帯を低くしてみると、どれだけキンキンした感じがなくなって 音程がしっかりしたようになるか驚くと思います。 商業ベースにのる ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ トラッカーたちは「ちゃんとした」音楽家たちから認められることがないため、トラ ッキングした音楽を商業的にリリースすることはほぼ不可能です。本当に少しのとても 幸運な人達はいましたし、これからも出てくるでしょう。私の知っている人達は、Bjorn Lynne(Dr. Awesome)、Dex + Jonesey、Eric Giesen(Sidewinder)、Vivid、Ganja M an、Holy Ghost、Oona、Assign、Blue Adonis、Purple Motion、Mark Knight(The Dark Knight)、Allister Brimbleです。 音楽でお金をもらうにはふたつの手があります。レコード会社に売るのと、コンピュ ータ・ゲームに使われることです。トラッキングされた音楽は音楽CDとは違い、ゲーム が遊ばれているときですら曲の一部を変更することがでるため、ゲームではいまだに主 役です。このことは、ゲーム画面の内容によって変化する音楽、を実現します。MIDIフ ァイルですらこのような使い方は簡単には真似できないでしょう。 音楽のリリースにおける主となる問題は、出力時のフォーマットです。あなたにも問 題が起こるかどうかを調べるちょっとした表を載せておきます。 サウンドカードの音質 DATレコーダ CDレコーダ 問題点? ―――――――――― ―――――― ――――― ――― 良・デジタル出力付き 有 有 無 良・デジタル出力付き 有 無 無 良・デジタル出力付き 無 有 無 良・デジタル出力付き 無 無 有 悪・デジタル出力なし 有 有 無 悪・デジタル出力なし 有 無 有 悪・デジタル出力なし 無 有 無 悪・デジタル出力なし 無 無 有 基本的には、“CDレコーダ”もしくは“デジタル出力付きの高音質サウンドカードとD ATマシン”があれば、高音質のレコーディングをするのに支障ありません。つまり、プ ロ用(!)のスタジオやマスタリング会社のお世話にならなくてもいい音質の録音がで きるということです。 これ以外に考えておかなければならないことは、あなたが使うサンプル自体の音質で す。私はばかばかしいほど多くの曲がサンプル音質のせいで一流になりきれていないと いうことを見てきました。一般的に言ってドラム音、特に高音域を含んでいるものがそ の主たる容疑者です。ピッチを上げすぎたシンセドラムのハイハットやシンバルは音の 特徴を失い、ただの雑音と化してしまいます。あなたが「ローファイ」なものを求めて いるのでない限り、CD音質以下のもので妥協しようとは考えないでください。 音量を上げることによってオーバードライブを起こすようなことを避けましょう。サ ンプルが音の特徴を失い、楽曲の質の低下を招きます。代わりに、曲で使われている他 のサンプルの音量を下げ、システム全体の音量を上げることで対処しましょう。 オーディオCDを作る ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ オーディオCDは上質なデモが配布されるもっとも人気の高いメディアです。一度にCD レコーダが焼くディスクの数は非常に大きくなりがちなのですが、CD-ROMドライブとし て使用するのではなくCDを焼くためだけに使用するのであれば、機械自体は何年ももつ はずです。 サンプリング ~~~~~~~~~~~~~~ (訳注2000.7.16:この部分には何も書かれていませんでした)