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MP3はどうなのか?

1998年あたりからいきなり大ブームになってしまった音楽フォーマットであるMP3。これはいったいどういうものなのでしょうか。そしてMP3はMODとどういう関係にあるのでしょうか。

MP3とは

1998年前半からインターネット上でMP3ファイルを見かけるようになってきました。そのうち多くのものは音楽CDから変換され、違法に配布された海賊版ですが、それをダウンロードして楽しんでいる人も多いと思われます。マス・メディアによる報道によって誤解が生じる場合があるのですが、「MP3=違法」ではありません。いったいMP3とは何ものなのでしょうか。

MP3は「MPEG Layer 3」の略であると言われています。MPEGというのは動画フォーマットの規格を定める独立した規格作成団体ですが、動画フォーマット自体のことを指すことが多くなっています。(余談ですが、MPEGと対をなす静止画フォーマット規格作成団体がJPEGです。)さて、MPEGが定める規格は、「ネットワーク上で動画を送受信するための規格」です。この「動画」には映画やテレビ番組、テレビ会議、インタラクティブ・ムービーなどが含まれており、使用する帯域幅も32kbps(モデムなどの低帯域ネットワーク)から1Gbps超(DVDなどの物理メディアを含む)までと幅広くなっています。現在、MPEG-1/2/4の三つが規格化されています。MPEGの扱える動画の範囲は広いのですが、その中でもMPEG-2がDVDやVideo CDにも使われている比較的ポピュラーな規格で、VHSビデオテープと同等の画質と音質を保証します。MPEG-3は規格作成の段階でMPEG-4に吸収されました。MPEG-3とMP3は別物ですので、用心してください(MPEG-4に吸収されたためMPEG-3は存在しません)。2001年現在のところ、MPEG-7とMPEG-21の準備が進められています。

さて、MPEG-1の動画は画像レイヤーと音楽レイヤーとにわかれています。音楽レイヤーにはレイヤー1からレイヤー3までの三つの規格があります。各レイヤーごとに帯域幅と音質のトレード・オフがあり、その中でもレイヤー3は高速モデム程度で容易に扱うことのできる大きさですが、音質もそれなりになります。もうおわかりですね。本来、デジタル放送を考えて作られた動画規格の一部として存在していた音楽レイヤーを、独立したファイルとして保存したのがMP3の始まりでした。

ファイルの大きさはCDをそのままファイルにするのと比較して、およそ1/10ほどに小さくできます(128kbps使用時)。音質はソニーの開発したミニ・ディスクに使用されているATRAC-3と同程度です。MP3は人間が音楽を聞くときの心理学的な要因を利用して圧縮するので、いいスピーカーかヘッドホンで聞かないとCDとの音質差に気付くことは難しいでしょう。高音域がシャリシャリした感じになり、シンバルや拍手などの音では音質劣化が激しいのが特徴です。ポータブルMP3プレイヤーが出揃ったこともあり、一般的には「ファイルが小さくて高音質。音とびもしないし、なかなか便利。」という評価です。MP3を宣伝に効果的に使うミュージシャンも出てきました。

MP3とMODの関係

MP3はその高音質が魅力で、製作も簡単なので、自作曲をインターネット上で配付したりするのにもってこいです。では、MODとの違いはなんでしょうか。MP3があればMODはいらないのでしょうか? 答えは「ノー」です。作った音楽を小さいファイルサイズで配付できるという点では両者は同じですが、その仕組みが違うため、使い道も異なってきます。

MP3は音楽の圧縮のために開発され、使われてきました。「音楽の圧縮」というのは、元の音質をできるだけ保持しつつファイルサイズを小さくする、ということです。そのために編集のやりやすさが失われています。その対極にあるのが「MIDI規格とその問題点」でとりあげたMIDI規格で、編集性を重視し音質の正確さはほとんど無視しています。MP3ファイルの編集をするためには、まずMP3ファイルをAIFFやWAVなどの無圧縮の音声ファイルに展開する必要があります。ここで気づいた人もいるかもしれませんが、AIFFやWAVファイルでは音楽編集を音符単位で行うことはできないのです。その瞬間瞬間に鳴っている複数の楽器音が複雑に絡まり合ったようになっていて、それぞれの楽器音を分離することができないのがその理由です。どうしても編集をしたいのであれば、部分または全体に対して効果をかけるか、音声サンプル単位での編集をするしかありません。現在では無圧縮ファイルへの展開をせずにMP3ファイルを直接編集できるソフトもありますが、編集は音符単位ではなく音声サンプル単位であることにかわりはありません。

では、MODをやろうとしている人にはMP3は無用なのでしょうか。その答えも「ノー」です。

MODerのMP3利用法

まず最初に考えられるのは、自分の作ったMOD曲をMP3にして配布する、というやり方です。一般的には配布ファイルが大きくなってしまいますが、曲の作り込みによってはファイルサイズを小さくすることもあります(XMで18MBの曲がMP3で6MBというものを見たことがあります:-)。また、MODファイルのまま配布すると、せっかく作った音声サンプルを勝手にリッピングされてしまうことがあります。MP3として配布すれば、不正リッピングを最低限に押さえることができます。

もう一つの有効な利用法として、自分の作ったサンプルを小さく保管しておくために使えます。もとのAIFFと比べて128kbpsで圧縮したMP3は、ファイルサイズが1/10程度になります。もちろん無圧縮の状態と比べると音質は下がりますが、多くのMOD再生ソフトには高品質のリサンプリング・ルーチンが組み込まれていますので、あまり心配はいらないでしょう。Win/DOSでは、MP3ファイルをサンプルとして読み込むことのできるトラッカーがあります。そういうものを使えば、より簡便にMP3を使うことができるでしょう。


さて、MP3はライセンスの問題で自由に使うことができない場合があります。それに対してOgg Vorbisというライセンス・フリーの音声圧縮フォーマットが登場しました。これがどのように発展していくかはまだ分かりませんが、MOD登場当時の理念にも合致するものではないでしょうか。


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(c) 1999, 2001 時間蠅
作成:1999.1.15〜2001.8.13